4.CONTENTS

【FILM LOVER’S STORY】カメラのヤマヤ

2018年5月にオープン1周年を迎える「カメラのヤマヤ」。

店主の浅野さん、そして奥様のみいさんのお二人のお店です。

カメラ屋さん?と思いきや奥にはWi-Fiが使えるカフェスペースもあるのです。

ちょっと不思議なお店がどのようにできていったのかお話を伺ってきました。


まずは、フィルム写真との出会いやエピソードを教えてください。

浅野:初めてフィルムで写真を撮ったのは、小学校2〜3年生くらいかな…?

旅行に持っていって大井川鉄道を撮った記憶があります。

中学生の頃は家族みんなで「Konica C35 EF」を使ってて、それを持ち出しては

学校で友達を撮ったり、飛行機を撮ったりしていました。

高校で写真部に入って、現像や暗室でのプリントの仕方も習ったし、

自宅でできるように機材も全部揃えたんですけど、1年で退部しちゃって。

部活では本数撮らないといけなかったり、コンテストに出さなきゃいけなかったり

したから嫌になっちゃって。(苦笑)

それ以降社会人になってしばらくするまで、写真から一度離れてしまったんですよね。

ちょうど一人暮らしを始めた時期にデジカメをもらって、それからまた好きなものを

撮るようになりました。フィルムスキャナーを買って、デジカメ写真とフィルム写真の

撮り比べをするようになってから、少しずつ「あ、けっこうきれいに写るんだな〜」って

そのよさに気付いていきましたね。友達も同じ時期にフィルムカメラを買ったので、よく

一緒に撮りに遊びに行ってました。そんな感じなので、写真歴は長いんですけど、

離れてる時間があったし、デジカメがメインだった時期も結構あるので、暗室作業とかを

またやり始めたのは最近なんです。

店主の浅野さん。

みいさんはいかがですか?

みい:私は撮ることも撮られることもあんまり…。特に撮られることが苦手で、

小学校のときの集合写真も、座って写らないようにしてたりとかして。(苦笑)

できるだけ逃げてたんですよね。カメラも持ってみたけど続かなかったし、スマホでも

あまり撮りません。でも写真を見るのは好きなんです。

浅野:写真集とかも元々持ってたもんね。

みい:うん。あとカメラのことも詳しいことはわからなくても、みなさんが話してるときがとにかく

楽しそうだから、聞いてるのがすっごく楽しい。デジタルプリントの受付をするときに

写真を見ながら撮ったときの話を聞いたり、プリントする写真を一緒に選んだりする時間も

楽しいです。


浅野さんのお気に入りのカメラを教えてください。

浅野:「Nikon F2 フォトミック」です。

お気に入りポイントはどこですか?

浅野:シャッターの切れがいいんですよね。シャッターボタンを押してから実際にシャッターが

おりるまでのタイムラグが少ないんです。ライブハウスで撮影してた時期があって、

表情のちょっとしたズレが少なくて済むように感じるんです。他のカメラも何台か

使ったけど、これが1番だったので、実は2台持ってます。(笑)


お店に置いてあるカメラたちは浅野さんが整備されているんですか?

浅野:そうです。もともと機械が好きで、写真から離れているときにラジコンや自動車を

いじったりもしていました。写真を改めてやろうと思ったときに買ったフィルムカメラが、

実は修理扱いだったんです。自分で直せないかな?って思って、ネットで記事を見ながら

できるところから始めたのが最初で、それから修理教室に通ったりもしました。

不調のものは、できるところは自分で整備しています。


お店についていろいろお聞きしていきたいのですが…

ここはもともと写真屋さんだったんですね?

浅野:はい。もともとアナログプリントに力を入れている写真屋さんでした。

プリントが上手だったので、僕がお客さんとしてプリントをお願いしてたんです。

でもある日店主さんが体調を崩されて。奥に居住スペースがあって、奥さんが店主さんを

看病しながら一人でお店を切り盛りしてたんですよ。何か困ったことがあると連絡がきたし、

たまにお願いされてお店のお手伝いにも行っていました。店主さんは「お店をやめたくない」

と言ってたけど、去年の2月の頭頃かな?ついに奥さんから「もうお店閉めることにしたから」

って電話がかかってきて。「もうここも取り壊すから。更地にする。」って。

えっ…。更地…。

浅野:「ちょっと待ってくれ」って。どうにかできないかって思いましたね。

若い人や初心者の人でも使えるカメラや買いやすいカメラを売りたいとぼんやり考えたことは

あったけど、自分の店を持つなんて到底できないと思ってたし…。でも考える時間もなくて

2月中に引き継ぐかどうするかを決断しなきゃいけなくて。「建物は好きに使っていいよ」って

言ってもらえたので、じゃあ引き継ごう、って決めて。

その話が出るまでに、浅野さんからぼんやりでもお店をやりたい、っていう話を

されたことはあったんですか?

みい:ううん、全然!聞いたこともなかった。戸惑ったけどあっというまに時間が過ぎていって…。

でもね、「この人ならこの場所を任せても大丈夫」って思ってもらえるってすごいこと

じゃない?これまでの関わりがあったからこそだし、そう思ってもらえた気持ちを

大事にしたくて。とにかくやってみよう、って。 もうこの波に乗ってみよう!って

ついていくことにしました。

浅野:3月にかけて、まずは店主と奥さんが引っ越して、修理不能になってしまった写真を焼く機械

(ミニラボ機)をひぃひぃ言いながら運び出して、自分たちもお店の近くに引っ越して、

お店に置く物をいろいろ入れて、もう〜〜〜〜とにかくバッタバタ!

みい:改装を始めたのは4月入ってからだっけ?

浅野:そう、本当は桜の時期に合わせてオープンしたかったんだけど、無理だった。(笑)

少しずつ一人で改装していきました。

店内の赤レンガの壁がレトロ。


具体的に、どこを改装されたんですか?

浅野:天井を塗って、床を張り替えて、壁紙を貼りかえて、照明機材をデザイン製作して、

お手洗いを使えるようにして、シーリングファンを直して…。

みい:カウンターも手作りなんです。すごいですよね…。

窓際のカウンターは浅野さん作。

浅野:そのへんはホームセンターのカッティングコーナーをフル活用しましたね。

逆に元のままなのは、壁のレンガと、外壁の色です。窓のカッティングシートも、いくつか

剥がせなかったものはそのままにしてあります。「木曜定休」とか、そのまま。

写真屋さんだった頃の写真がありますよ。

この写真は少し古いのですが…先代がお店を閉めるときにはテント看板を外して

壁を緑に塗ってありました。

先代の頃のヤマヤさんの写真。よく見ると看板には「カメラのヤマヤ」と店名が。

現在のカメラのヤマヤさん。

あっ、お店の名前も元々「カメラのヤマヤ」さんなんですね!

浅野:そうです。店主さんの名前が山中さんだったので「ヤマヤ」。地域に根づいた場所だったし、

急にお店をやめることになったから、閉めてしまうことを知らないお客さんもたくさん

いたはずなんですよ。だから屋号ごと引き継ぎました。

改装が落ち着いたのはいつごろですか?

浅野:いやそれが落ち着かなかったんですよ。(笑)でもとにかくオープンしなくちゃっていう

気持ちがあったので、とりあえず4月からプリントの受付だけ始めて、改装を進めて

いきました。カフェスペースとして使えるようになったのが5月です。

みい:全部がこの人(浅野さん)の頭の中にあるから、どんなふうになるのか全然わからないし、

手伝うにも限度があって…。でもお店を開くにあたっての届けを出したり、手続きをしたり

するのは全部私がやりました!だから中のことはあんまり手伝えなかったけど、私の存在も

それなりに不可欠だったと思う!

浅野:うん、そうだね。そのへんは完全に任せきりでした。

本棚にある本や写真集は浅野さんのセレクト。
300円でコーヒーや紅茶、ハーブティーが飲み放題、Wi-Fiも使えます。


カメラ屋さんだけど、Wi-Fiが使えるカフェスペースもある…というのは

今までにあまりないちょっと不思議な空間だと思います。

浅野:ミニラボ機がなくなった場所をどうするかだったんですよね。昔画廊でアルバイトをした

ことがあって、オーナーと「アーティストが気軽に寄れるサロンや交流の場があると

いいよね」って話したことがあったんです。そんなスペースにしたいと思ってはいたの

ですが、喫茶店にはできないので、ネットカフェのような要素を取り入れて、もっと多目的に

使えたらいいな、と思ってこうなりました。 あとは、ここは写真屋さんになる前、実は喫茶店

だったんですよ。昔ってフィルムの現像受付をいろんなお店がやったんですよね。薬局とか、

クリーニング屋さんとか。ここも喫茶店だったときから写真の現像受付をしていたみたい

なんです。

みい:喫茶店と現像受付、そこから写真屋さん、カメラ屋さんとWi-Fiの使えるカフェスペース…

なんだかこの場所の不思議なつながりを感じちゃいます。ここではずーっと現像受付をして

きたんだなぁって。


オープンから1年経ちますが、この1年はいかがでしたか?

そして、2年目に向けてやっていきたいことはありますか?

浅野:まだまだこれからです。みなさんのおかげで続けてこれています。いいお客さんが多いので

本当に助かっています。やっていきたいこと…そうですね、カメラのラインナップを

増やしたい(笑)とかいろいろありますが…。商店街の中にあるお店なので、 先代からの

お客さまもいらっしゃいますし、このあいだは家族写真の撮影も頼まれましたね。

小さなお店なのでできることは限られていますが、求められれば応えられるように

なりたいし、必要とされればできるだけ柔軟に対応できるようにしていきたいです。

近所の人たちとお話できる場というか、世間話がちょっとできる場としても引き継いで

いかないと、と思っています。

みい:私はカメラのことはよくわからないんだけど、これから始めてみたかったり、

まだ始めたばっかりの人には、「わからない私がここにいるから大丈夫だよ!

何聞いても恥ずかしくないよ!」って言いたい。もちろん(浅野さんが)丁寧に説明はする

けど、その説明が難しかったときには、「その説明、よくわかんないよ?」って隣で私が

言えるから。お店でくつろいでもらうってことにはカメラの知識とか写真好きな人とか

関係ないので、気軽に利用してもらいたいです。押し付けずに、「始めてみよう」と思った

ときにサポートできる場所でありたいと思います。

貴重なお話をありがとうございました!


【今後のカメラのヤマヤさんのイベント】

1周年記念パーティー

2018年5月12日(土)15:00〜21:00頃

参加費500円(1ドリンク+軽食つき)

フォトボード ワークショップ

2018年6月3日(日)11:00〜12:00

参加費1200円(材料込)

コルクボードに写真をデコレーションして飾ります。要予約。

詳細、お申込みはこちら

パステルアートワークショップ

みいさんが不定期で開催しています。

パステルを削って絵を描きます。

店内にはみいさんの作品が飾ってあります。


カメラのヤマヤ

東京都小平市学園東町3-1-1

TEL /FAX : 042-344-1445

OPEN:10:00〜19:00

CLOSE : 木曜日

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