4.CONTENTS

【FILM LOVER’S STORY】三葉堂寫眞機店(前編)

2018年2月18日にオープン1周年を迎える三葉堂寫眞機店。

場所は東京・日暮里。クラシックカメラを扱う中古カメラ屋さんです。

フィルム写真を楽しむ人を増やしたい。そんな思いでお店を作られた

店主の稲田さん、広報の松田さん、修理師の佐藤さんの3人にお話を聞いてきました。

左から稲田さん・松田さん・佐藤さん


まず、3人それぞれのフィルム写真をはじめたきっかけを教えてください。

松田:僕はおばあちゃんちからPENTAX MXが出てきたんですよ。

でも最初は「売ろうかな」って思ってて(笑) 使えないと売れないしな〜って使ってみたら、

意外と楽しくて…。大学の近くの写真屋さんに現像をお願いしてたんですけど、よくおまけで

フィルムをくれたんですよ。そんな中、Twitterのフィルムつながりの飲み会で、

稲田と出会ったんです。歳の近い写真友達が初めて出来て、一緒に撮りに遊びに行ったり

色んな写真屋さんを巡ったりしながら、どんどんハマっていきました。

 

PENTAX MX:ペンタックス エムエックス
一眼レフのフィルムカメラ。他の一眼レフカメラと比べて小さくて軽いところが魅力。

左から稲田さん・松田さん

稲田:僕のおじさんが、絵や写真、ビデオが好きで…。趣味なのに本格的な機材を使ってて

大きなビデオカメラとかたくさんあったので、小さい頃から触ってはいたんですよね。

シャッター押すだけで撮れるカメラを使ってよく遊んでたし、小学校の頃の作文に「将来

カメラマンになる」って書いてたりしてました。そのあとはしばらく写真から離れて、

大学に入ってから本格的に「よし!写真やるか!」って思って。そこでデジカメではなく

フィルムカメラを選んで、Nikon FM2を買い…半年で中判カメラに手を出し…ハタチで

ハッセルを買ってたもんな…。(遠い目)

松田:僕も稲田に出会ったのがハタチだったから、その年にローライ買ってるんだよね…。

だから難しそうに見えるカメラでも、「大丈夫!使えるよ!」って言えるんです。

Nikon FM2:ニコン エフエムツー フィルム一眼レフカメラ。
ハッセル:Hasselblad(ハッセルブラッド) カメラのメーカー。この場合はカメラの略称。
ローライ:Rollei(ローライ)  この場合はカメラの略称。

佐藤:僕は生まれたときからあったからなぁ…。「2歳くらいのときにお前が撮った写真だよ」って

見せられたことがある(笑) 一般家庭だったから、すごいカメラじゃなかっただろうけど、

どうやらその頃からいじりながら撮ってたらしい。まあそのあとは紆余曲折ありまして。

写真以外のことに熱中していたときも、ずっとカメラはそばにあったかな。


稲田さんと松田さんはお友達だったとのことですが、

佐藤さんとはどんなつながりだったんですか?

左から稲田さん・佐藤さん

稲田:僕がTwitterで存在は知ってて…会ったことはなかったけどフォローフォロワーの関係は

結構長かったよね?

佐藤:うん、そうねぇ…?

稲田:その頃まだ佐藤さんのプロフィールが「カメラマン、時々修理師」だったんですよ。

それがあるとき「副業が本業を超えた」ってつぶやいてたことがあって。

松田とお店をやろうっていろいろ考えてたときに、カメラを直せる人がいるといいねって

言ってたので、佐藤さんに話をしてみたら、「修理で独立しようと思ってる」って言うから、

「じゃあ一緒にやらない?」って。

佐藤さんはそのお誘いを聞いてどうでした?

佐藤:えっ(笑)

松田:わりと軽かったよね!?

佐藤:あはは(笑) 「うん、いいよ〜〜」って感じだった。だから僕はついてきただけ(笑)


お互いの第一印象は…?

松田:稲田は「革ジャン着て、高いカメラ持ってる、態度のデカイいけ好かない奴っ!!」(力説)

佐藤:(稲田さんを見つめながら) んー…。一緒に撮りに行ったこととかないよね?

仕事の話しかしなかったら…「真面目」?(笑)

稲田:あー佐藤さんとは一緒に撮りに行ってないねぇ。お店主催のワークショップが先だったね。

松田は当時僕の少ない写真友達の中の一人で、「撮りやすい人だな〜」って思った。

佐藤:(松田さんを見つめながら) んー…。「フィルム写真にすごく愛がある人」だなって

喋ってて思ったかな。

松田:おぉーっちょっといい印象で安心したーっ!

佐藤さんは、「何かよくわかんないけどヤバイカメラいっぱい持ってる人!!」

初めて会った時カメラたくさん持ってて…何かよくわかんないけどヤバイ!!ってなった。

稲田:僕は「Twitterよりしゃべらない!!!」だったかな(笑) Twitterだともう少し喋るんです。

あと「カメラいっぱい持ってる!!!」

佐藤:まあ、カメラは仕事で使ってたからねー。(にっこり)


では、それぞれのお気に入りのカメラを教えてください!

稲田:えっ!?

佐藤:ふふっ(笑)

松田:え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと……何台…?

1台?こいつだけは譲れないっていう愛しの1台?

稲田:マジか。

松田:ぜぇ〜〜ん〜〜ぶぅ〜〜だぁ〜〜よぉ〜〜無ぅ〜〜理ぃ〜〜だよぉ〜〜…。

せめて4台……。

眉間にしわを寄せてずっと悩んでいた松田さん

メ、そんなに紹介できないですっ。(笑) 頑張って絞ってください。(笑)

稲田:じゃあ僕から!

Hasselblad500CM / C Planar 100mm F3.5 nonT 銀リム」です!!

カメラ:ハッセルブラッド500シーエム
レンズ:シープラナー100ミリ エフ3.5 ノンティー ギンリム

あのっ、呪文のようなそのレンズのnonTって一体なんなのか

わかるように説明してください。(笑)

稲田:カールツァイスっていうメーカーの、シングルコーティングのレンズのことです。

古いレンズで、モノクロで撮ってた時代のものですからカラーで撮るとあっさりめ、

コントラスト低めに撮れるんです。逆にマルチコーティングがされたT*レンズですと、

より進んだ時代のものになるので、色乗りもよくシャープでコントラストも高くなります。

ちなみに銀リムっていうのは縁が銀色のものです。

では改めて、お気に入りポイントを教えてください。

稲田:もともとこのレンズが好きなんです。このレンズが使えるカメラが限られているのと、

使い勝手などもあってこれを選びました。中判カメラだけどちっちゃいし、アクセサリーも

いろいろあるし、カスタマイズもできるし。

ちなみに、カスタマイズは結構しますか?

稲田:(無言で頷く) …アクセサリー類は…それなりに…持ってます…(小声)

ありがとうございます。では佐藤さんお願いします!

佐藤:僕はねー、いっぱいカメラ持ってるんだけど、万遍なく使うタイプです。使わないと

シャッターが粘っちゃうので…。ローテーションでいろいろ使ってます。

松田:佐藤さんはほんとすごい。マジで日替わり定食みたいにカメラ使う。

そんな中で選んだのは!

佐藤:「PENTAX 67Ⅱ / ASAHI 45mm F4」です。

カメラ:ペンタックス ロクナナ ツー
レンズ:アサヒ 45ミリ エフ4

お気に入りポイントはどこですか?

佐藤:使いやすさ!絞り優先が使えるから!6×7フォーマットで、絞り優先が使えて、一眼レフ。

6×7、絞り優先だったら他にもカメラはあるんだけど、一眼レフっていうのはこれだけ。

普段リバーサルフィルムを入れてるので、絞り優先を使えるのが本当に使いやすいです。

稲田さんのハッセルも、佐藤さんのバケペン(PENTAX67シリーズの愛称)も、

すごく人気の高いカメラですよね。

さて、松田さん、俺の1台、決まりましたか?

松田:あの…あんまり買えないカメラなんですけど…でもすっごくお気に入りなので…

それでもいいですか…?

はいっ、お願いします!

松田:「FUJIFILM TX-2 / FUJINON 45mm F4」です!

カメラ:フジフイルム ティーエックス ツー
レンズ:フジノン 45ミリ エフ4

お気に入りポイントをお願いします!

松田:パノラマが撮れるカメラです。普通パノラマって、コマの上下を狭めて細長くして

撮っているのですが、これは2コマ分を使ってパノラマが撮れるんです。ハッセルからも

エックスパンっていう名前で出ているんですが、僕はFUJIFILMを愛してるので…。

もともと風景を撮るのが好きだったのでずっと欲しいカメラだったんです。

そう思い続けていたら縁あってそのカメラを持っていた方から譲っていただいたんです。

レンズも3種類出てます。ただ、物自体はなかなか数がないのと、お値段が結構高いので

気軽に買えるカメラ…ではないのですが…。

それ、普通に欲しいし使ってみたいんですけど… (物欲を刺激されました…)

稲田:これは本当に物がないから、入荷したら【速報!】って出すレベルのやつです。

松田:でも本当に、きれいに撮れるし、僕のお気に入りカメラですっ!!

 

後編 へつづく…。

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