A.短期保管は常温、中期保管は冷蔵庫、長期保管は冷凍庫。
ただし、注意点もあります。
【フィルムの構造と、保管する上で気をつけたいこと】
冷蔵庫で保存するかどうかの前にフィルムについて少しお話を。
フィルムには乳剤という層があり、光に反応する化学物質がゼラチンによって固められています。
高温多湿の場所に置くと、そのゼラチンがやわらかくなると同時に
化学物質の変質が起こりやすくなり、感度の低下や、感光、色転びの変化などが起こります。
更には乳剤が蒸発してカメラのファインダーを曇らせたり、
機械の故障につながることもあるそうです。
熱や強い光があたらず、湿気や有害ガスのない冷暗所での保存により、
フィルムへの悪影響を最小限に抑えることができます。
そこで、多くの方は冷蔵庫に保管するということを思い浮かべると思います。
ただし冷蔵庫で保存した場合、特に夏などは冷蔵庫内と外気の温度差が大きくなります。
このとき気をつけるべきが結露です。
(冬の寒い時季、窓ガラスに水滴がつくことがあります。これも結露です。)
結露してしまうと乳剤面に水滴跡がついてしまったり、
多湿状態になるわけですから化学物質の変質が起こってしまったりします。
そのため前日の比較的涼しい時間や涼しい時間に常温に慣らす解凍が必要になります。
こういうわけで僕は大まかに短期保管・中期保管・長期保管の3種類で保存の仕方を分けています。
【常温で短期保管】
短期保管の場合は直射日光の当らない風通しの良いところに常温保管します。
要は棚などにそのまま置いておくということです。
(引き出しなどに仕舞う場合は適度に換気をして欲しいです。)
理由はすぐ使うからです。
前の日に解凍しておくなんて正直、忘れそうだし(笑)、
かといって結露は嫌なのですぐ使うフィルムは何本か常に出しておいています。
(Poraloid SX-70用・600用フィルムは温度管理が必要なので除く)
【冷蔵庫で中期保管】
数ヶ月は使わないであろうフィルムを保管するのはこの中期保管になります。
これに当たるのが冷蔵庫での保管です。
ただ、「冷蔵庫に入れておけば良い」というものではありません。
冷蔵庫でのフィルム保管のポイントは、先ほどもお話しましたが
冷蔵庫との温度差で結露するのを避けることです。
あと僕も最近まで知らなかったのですが、冷蔵庫って結構湿度が高いそうです。
カビが生えるのもこのせいなんだとか。
135フィルムはPケースに、120フィルムも袋に基本入っているので問題ないかなと思いますが、
ベストはドライボックスに入れてそれを冷蔵庫に入れるとベストだとお客様に教えていただきました。
(そんなデカイ冷蔵庫が家庭にあるのかは別として笑)。
【冷凍庫で長期保管】
そして長期保管というのが冷凍保管になります。
冷蔵庫よりも低い温度での保管になりますのでより長期の保管に向いております。
これも使いたいときはいきなり常温に戻すのではなく、一度冷蔵庫に戻して
そのあと常温に戻すという工程が必要になります(これも結露を防ぐため)。
1年は使わないかなというフィルムは冷凍庫での保管をしています。
(なかなかここまで使わないフィルムは買わないと思いますが笑)
【回答協力】
三葉堂寫眞機店 松田さん
フィルム有/店内ギャラリー有/中古カメラ有
クラシックカメラをメインに扱う中古カメラ店。
フィルム現像の受付や受け取りが可能で、
お店にあるスキャナーやプリンターも使用できる。
最寄り駅:JR山手線「日暮里」駅・京成線「日暮里」駅
住 所:東京都荒川区東日暮里5-32-6
電 話:03-6884-4943
営業時間:11:00〜19:00
定 休 日:水・木曜日
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